ELECTORICAL EDITED TEXT OF "『清風柱礎』(富田寛 SC000)" by CHARLIE ZHANG 2017 ver.0.02


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SC061 阿船串

 17Y,付点作業を7行目途中までで中断。付線ナシ,拍点のみ。そこまでの拍点位置は17Gと一致。 31B,頭点のみ。
 2行目「尺工尺工」,17G後の「尺工」に付線ナシ。31Bは付線して4分4分。4行目頭「合四上」,17G付線ナシ。「四上」間に付線した場合「合四」は2分半4分。前行に同様の箇所があるための省略と思われる。 3行目「四合四」,17Gは「合四」に付線ナシ。31Bが3符を結んで三連とする。続く「合。」を31Bはオモテ上付とするが,17G・17Yではウラ>オモの2拍点となっており,前後の関係から考えても下付が正しい。 5行目末「六工尺上」,17Gは「工尺」のみを結び,31Bは4符を結ぶ。拍点が17G・31Bと同じであれば「六工尺」の三連であっても意味は変わらないが,「尺上」間の付線は基本的には不要でまぎらわしい。頭点のみで四連の場合では,この場合,資料単体での読み解きは不能。 10行目末「四合四」,17Gは1拍点3符三連,31Bも三連とするので読解不能。8分8分4分,あるいは4分8分8分であるが,このウラ1上付の拍点が最初の「四」ではなく「合」に付いていれば,直前の「合」2拍点から流れて2分半4分+4分4分となり,再現上も読み解き上も,もっとも自然となる。本曲中にもここと同様の符字順列で付点の類似する箇所が2行目と3行目にあるが,「乙四」からこの部分をふくむ前後の符字順列が類似する他曲諸例の音長関係との比較から見ても,拍点位置が間違っている可能性が最も高い。
 以上を考慮したうえで,17Gおよび31Bの付点より推測される曲調は以下のとおり----

  合−−四|合四合−|−○上−|−四上−|
  四上尺−−工尺工|尺−−○|合−−四|
  合四合−|−○合−|−四上−|−四上−|
  −○合−|−四合四|合−−○|合−−四|
  上−−四|上−−○|合−−四|上−−四|
  上−四合|尺−−工|合−−○|尺−−
  工尺上−|尺−−工|上−−○|上−工上|
  尺−−○|上−工−|尺−−○|尺−尺合|
  工尺上−|−○乙尺|乙四合−|−○合−|
  合−尺−|尺−乙−|乙四合−|−○乙−|
  乙−四−|尺−乙尺|乙四合−|−○乙−|
  乙−四−|尺−乙尺|乙四合−−四合四
  合−工−|四−合−|−○  | ■ 再現曲

 曲題は意味不明。長崎歴文所蔵『西奏楽意譜』(18:13 写本)に「船串」と題する譜が見え,符字も一致するため,題はこの間違いである可能性が高い。「"河" 船」という曲のヴァリエーションであろう。「串」はおそらく「串戯(かんぎ=芝居)」の「串」で,絵空事転じて「−のようなもの」,正式な曲調でない「○○風」というような曲であるという意味合いを持つと思われる。なお長崎歴文の譜は本譜6行目「…尺 工 上。」のところで終わっている。 早大の『西秦楽意』をはじめとする長崎派の「鳳陽調」の末尾に,この曲の曲尾部分と符字順列の一致する例が二三あり,曲調からも両曲の間には関連性が匂わされる。

●SC061 阿船串 合四合四合上四上四上尺工尺工尺合四合四合合四上四上合四合四合合四上四上合四上四上四合尺工合尺六工尺上尺工上上工上尺上工尺尺尺合工尺上乙尺乙四合合合尺尺乙乙四合乙乙四尺乙尺乙四合乙乙四尺乙尺乙四合四合四合工四合
合 四 合 四 合。上 四 上 四 上

尺 工 尺 工 尺。合 四 合 四 合。
合 四 上 四 上。合 四 合 四 合。
合 四 上 四 上。合 四 上 四 上
四 合 尺 工 合。尺 六 工 尺 上
尺 工 上。上 工 上 尺。上 工 尺。

尺 尺 合 工 尺 上。乙 尺 乙 四
合。合 合 尺 尺 乙 乙 四 合。乙
乙 四 尺 乙 尺 乙 四 合。乙 乙
四 尺 乙 尺 乙 四 合 四 合 四
合 工 四 合。
合−−四|合四合−|−○上−|−四上−|
四上尺−|−工尺工|尺−−○|合−−四|
合四合−|−○合−|−四上−|−四上−|
−○合−|−四合四|合−−○|合−−四|
上−−四|上−−○|合−−四|上−−四|
上−四合|尺−−工|合−−○|尺−−六|
工尺上−|尺−−工|上−−○|上−工上|
尺−−○|上−工−|尺−−○|尺−尺合|
工尺上−|−○乙尺|乙四合−|−○合−|
合−尺−|尺−乙−|乙四合−|−○乙−|
乙−四−|尺−乙尺|乙四合−|−○乙−|
乙−四−|尺−乙尺|乙四合−|−四合四|
合−工−|四−合−|−○  |
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