ELECTORICAL EDITED TEXT OF "『清風柱礎』（富田寛　SC000）" by CHARLIE ZHANG 2017 ver.0.02

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SC048　二黄調

　「二黄」は「二簧（アルホァン）」と思われる。チューニングの名称としては基本的に「二凡調」と同じ。俗曲・芝居の曲牌名（旋律の形式名，日本でいうところの「節回し」のようなもの）の一つで，「西皮調」が北方まわりで流行・発展してきたのに対して，南回りで流行って都にとどいた。いまでも京劇で使われる主要なメロディ・ラインの一つになっている。
　あくまでも形式名であって，ほんらいは特定の曲を指すものではない。これも「"二簧調" の無銘の曲」と言ったところ。クラッシックなどで「協奏曲イ短調」などと題するのと同じようなものである。譜は村田きみ『清楽雅譜』（M.15　008）にすでに見え，符字句点完全一致するも句点のみの素譜。所載例少なく，現状詳細不明。

　３行目「上尺工六」，１７Ｇは「上」にオモ１「工」にウラ１で４分半８分４分４分とするが，１７Ｙは「尺」にウラ１，以下を結んで３連とする。この場合１拍点３符となって本来は解読不能。１７Ｇが「上尺」を４分半８分とするところから，１７Ｙの３連「尺工六」は8分８分４分ではないかと推測される。ただし１７Ｇのみ「工六」が無印であり，再現では４分４分として処理したのだが，この部分の付点には若干の疑念が残る。　同行末「尺」，１７Ｇのみ句点。笛の場合はあったほうが良い。　３～４行「尺上乙四」，１７Ｇは全符２分４分４分，１７Ｙは２分均等とし，近世譜にしたときの小節の
長さは変わらないが，大きく異なる。　４行目末から曲尾「四仩合。」，１７Ｇは「仩合。」に付線して「四仩」は４分半８分，１７Ｙは「四仩」に付線して４分４分とする。

　　工－合－｜尺－－工｜上－－○｜四合四仩｜　　合－－○｜尺－－○｜尺工上四｜合－－○｜　　工－工尺｜工－四－｜上－－○｜尺－－工｜　　上－－○｜上－尺工六｜尺－－●｜上－乙四｜　　合－－○｜乙尺乙四｜合－－○｜四－仩合－｜　　－○　　｜　（１７Ｇ）　■ 再現曲 　　工－合－｜尺－－工｜上－－○｜四合四仩｜　　合－－○｜尺－－○｜尺工上四｜合－－○｜　　工－工尺｜工－四－｜上－－○｜尺－－工｜　　上－－○｜上－尺工六｜尺－上－｜乙－四－｜　　合－－○｜乙尺乙四｜合－－○｜四仩合－｜　　－○　　｜　（１７Ｙ）　■ 再現曲

　３１Ｂは拍点の間隔広く，符音がほか２本の１／２となっている。

　　工合尺－工｜上○ 四合四仩｜合○ 尺○｜尺工上四合○｜　　工工尺工四｜上○ 尺－工｜上○ 上尺工六｜尺－上乙四｜　　合○ 乙尺乙四｜合○ 四仩合｜（３１Ｂ）　■ 再現曲
　２～３行目「工四」，無印のため音長関係に疑念アリ。　３行目「尺工上。」３符１拍点。１７Ｇ・１７Ｙの付点だと「尺工」が不均等音長，「上」は全符であり，これを半分にした場合には「上。」にも拍点が打たれるはずだが，次の「上」にしかない。おそらくは同音の符が続いたことによる拍点の付け忘れと付け間違いだろう。ここを処理しないと以下が破綻して続けられないので，画像にも本来あるべき拍点を中白のミドリ丸で足して置く。以下画像の拍点とオモウラが逆転。　４行目「乙四」無印，おそらく４分４分で良いと思われるが小疑念。
　以上の処置をしたうえで読み解いた譜は，３～４行目の「尺上」が不均等関係になっている以外は，１７Ｙの譜を符音１／２にしたものにほぼ一致する。
　１７Ｇと１７Ｙの間で後半に大きな差異があるため多少の疑念は残るが，３１Ｂの解読から考えて１７Ｙの付点のほうが，渓派内で一般的なものに近いだろうと思われる。京劇の中で「二簧」の旋律は，とくに文場の泣かせどころなどに用いられるので，テンポはゆっくりめでいいだろう。

SC048　二黄調工合尺工上四合四Ｃ合尺尺工上四合工工尺工四上尺工上上尺工六尺上乙四合乙尺乙四合四Ｃ合

`工合尺工上。四合四Ｃ合。尺。尺工上四合。工工尺工四上。尺工上。上尺工六尺。上乙四合。乙尺乙四合。四Ｃ合。`	`工－合－｜尺－－工｜上－－○｜四合四Ｃ｜合－－○｜尺－－○｜尺工上四｜合－－○｜工－工尺｜工－四－｜上－－○｜尺－－工｜上－－○｜上－尺工六｜尺－上－｜乙－四－｜合－－○｜乙尺乙四｜合－－○｜四Ｃ合－｜－○｜`
`e2 ＜g2＞｜d2.e ｜c2.r4 ｜＜ag a＞c ｜＜g2.＞r4 ｜d2.r4 ｜de c＜a ｜g2.＞r4 ｜ e2 ed ｜e2 ＜a2＞｜c2.r4 ｜d2.e ｜ c2.r4 ｜c2 de8g8 ｜d2 c2 \|＜b2 a2＞｜＜g2.＞r4 ｜＜b＞d ＜ba ｜g2.＞r4 ｜＜a＞c ＜g2＆｜ g＞r4 　　｜`	`e2 g2 ｜d2.e ｜c2.r4 ｜ag a＞c＜｜ g2.r4 ｜d2.r4 ｜de ca ｜g2.r4 ｜ e2 ed ｜e2 a2 ｜c2.r4 ｜d2.e ｜ c2.r4 ｜c2 de8g8 ｜d2 c2 \|b2 a2 ｜ g2.r4 ｜bd ba ｜g2.r4 ｜a＞c＜ g2＆｜ gr4 　　｜`

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