ELECTORICAL EDITED TEXT OF "『清風柱礎』（富田寛　SC000）" by CHARLIE ZHANG 2017 ver.0.02


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SC023　潺湲調

　「潺湲（せんかん）」は水の流れるさま，「流水調」と同義であろう。

　１７Ｇ，後半に１つ句点追加，１符のみ装飾あり。２行目「四 上 尺。」に付線なし，１７Ｙは「四 上」間に付線，４分４分全符とする。　３行目「上 四 仩」同前，こちらは２分４分４分。　７行目の付線が２本で異なるが，読み解き上の差異はない。　８行目「合 四 仩。」１７Ｇは３連，１７Ｙは「合 四」のみを結ぶが読み解き上の差異ナシ。続く「乙 四 合。」１７Ｇは「乙」を２拍点「四」を無印，「四 合。」間を付線で結び２分半４分，１７Ｙは「乙 四」にそれぞれ１拍点を付し，２分２分とする。

　　尺尺四上｜合四仩−｜六五六工｜尺工四上｜
　　尺−−○｜尺−四上｜四上工六｜工尺上−｜
　　四仩合−｜−○合四｜合四合−｜−○工尺｜
　　合−工尺｜合−合工｜合工合四｜仩−四仩｜
　　合工合−｜−○尺工｜四仩合−｜−○仩−｜
　　仩四合尺｜工●尺工｜六五六−｜−○凡−｜
　　−尺合−｜−○仩−｜合四仩−｜−○乙−｜
　　−四合−｜−○工−｜−六工−｜−○上−尺｜
　　工−尺上｜四仩合−｜−−四仩｜工六尺−｜
　　−○　　｜ （１７Ｇ　近世譜）■ 再現曲
 　　尺尺四上｜合四仩−｜六五六工｜尺工四上｜
　　尺−−○｜尺−四上｜四上工六｜工尺上−｜
　　四仩合−｜−○合四｜合四合−｜−○工尺｜
　　合−工尺｜合−合工｜合工合四｜仩−四仩｜
　　合工合−｜−○尺工｜四仩合−｜−○仩−｜
　　仩四合尺｜工−尺工｜六五六−｜−○凡−｜
　　−尺合−｜−○仩−｜合四仩−｜−○乙−｜
　　四−合−｜−○工−｜−六工−｜−○上−尺｜
　　工−尺上｜四−合−｜−−四仩｜工六尺−｜
　　−○　　｜ （１７Ｙ　近世譜）■ 再現曲

　３１Ｂは拍点間隔広く，各符の音長は２本の半分になっている。　７行目「凡 尺」，上記２本から推定される音長は４分半８分だが，付点に従うと８分半１６分となる。　８行目「乙」が無印。ほか２本は全符とするので，半分だとすると２分となり１拍点が付されるはずである。拍点に乱れはないので続けるとすると「仩。 乙」で４分４分もしくは４分半８分の関係となる，いささか不自然で疑念がある。　同行末「四 合。工 六」，から次行「尺 上」までの音長が２本の半分よりもさらに短くなる。「六 工。上 尺 工 尺 上」までの７符で１小節，付点に従うなら「六 工。」が８分８分「上 尺」８分半１６分，「工」４分「尺上」８分８分となる。　９行目末「仩」の真横に「上」，これは装飾符ではなく月琴の低音弦開放と高音弦「仩」の合わせ弾きの指示。

　　尺尺四上 合四仩｜六五六工 尺工四上｜尺○尺四上｜四上工六 工尺上｜
　　四仩合 ○合四｜合四 合○工尺｜合工尺 合合工｜合工合四 仩四仩｜
　　合工合 ○尺工｜四仩合 ○仩｜仩四合尺 工尺工｜六五六○｜
　　凡−尺合 ○仩｜合四仩乙｜四合○工｜六工上−尺 工尺上｜
　　四合−四仩｜工六尺○｜ （３１Ｂ　近世譜）■ 再現曲

　オレンジで表示した箇所が，１７Ｇ・１７Ｙの付点から類推される音長と異なる部分である。以上のように１７Ｇ・１７Ｙは音長関係の異なる個所は１つのみ，再現される曲調はほぼ同じであるが，３１Ｂの付点は後半にやや疑問が多く，曲調としてもやや不自然なところがある。

　『清楽指南』（SS024　左画像）の付点は１７Ｙのものと完全に一致する。岡本半渓『清楽の栞　続編』所載の譜でも付線の配置は１７Ｙの例と一致した。ここから１７Ｙの付点から再現される曲調が，渓派内では標準的なものであった可能性が高い。

　長崎歴史文化博物館所蔵の手写本『清風雅譜』（得我女史画　M.16？）の「聴琴」という曲譜の題下に「前後 潺湲調」と記されている。資料が少ないので，これが演出としての特殊な取りあわせだったのか，常にそのようにして演奏されるものだったのかは分からないが，「潺湲調 ＞ 聴琴×２＞　潺湲調」という組み合わせで演奏されることもあったようである。

SC023　潺湲調 尺尺四上合四Ｃ六五六工尺工四上尺尺四上四上工六工尺上四Ｃ合合四合四合工尺合工尺合合工合工合四Ｃ四Ｃ合工合尺工四Ｃ合ＣＣ四合尺工尺工六五六凡尺合Ｃ合四Ｃ乙四合工六工上尺工尺上四合四Ｃ工六尺
尺 尺 四 上 合 四 Ｃ 六 五 六
工 尺 工 四 上 尺。尺 四 上 四

上 工 六 工 尺 上 四 Ｃ 合。合
四 合 四 合。工 尺 合 工 尺 合
合 工 合 工 合 四 Ｃ 四 Ｃ 合
工 合。尺 工 四 Ｃ 合。Ｃ Ｃ 四
合 尺 工。尺 工 六 五 六。凡 尺

合。Ｃ 合 四 Ｃ。乙 四 合。工 六
工。上 尺 工 尺 上 四 合 四 Ｃ
工 六 尺。
 尺尺四上｜合四Ｃ−｜六五六工｜尺工四上｜
尺−−○｜尺−四上｜四上工六｜工尺上−｜
四Ｃ合−｜−○合四｜合四合−｜−○工尺｜
合−工尺｜合−合工｜合工合四｜Ｃ−四Ｃ｜
合工合−｜−○尺工｜四Ｃ合−｜−○Ｃ−｜
Ｃ四合尺｜工○尺工｜六五六−｜−○凡−｜
−尺合−｜−○Ｃ−｜合四Ｃ−｜−○乙−｜
−四合−｜−○工−｜−六工−｜−○上上−尺｜
工−尺上｜四−合−｜−−四Ｃ｜工六尺−｜
−○　　｜
dd ＜a＞c ｜＜ga＞ c2 ｜ga ge ｜de ＜a＞c ｜
d2.r4 ｜d2 ＜a＞c ｜＜a＞c eg ｜ed c2 ｜
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